住宅ローン減税とふるさと納税 併用時の注意点

住宅ローンを借りて自宅を購入した人にとって、年末のローン残高の一定割合が所得税や住民税から控除される住宅ローン減税は、大きなメリットのある制度です。ふるさと納税との併用も可能ですが、住宅を購入した年ならではの注意点もあります。

2026年に住宅を購入した会社員のケースを例に、住宅ローン減税とふるさと納税を併用するときのポイントを確認してみましょう。

ふるさと納税とは

ふるさと納税は、故郷や応援したい自治体に寄付をすると寄付金控除が受けられ、寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税や住民税から控除できる制度です。自治体によっては、その土地の名産品などの返礼品を受け取ることもできる制度となっています。

ただし、いくら寄付しても自己負担が2,000円で済むとは限りません。ここからはAさんの事例をもとに併用するときの注意点を見ていきましょう。

<Aさんのプロフィール>

Aさん35歳・会社員、年収750万円 妻33歳・収入なし、子5歳・2歳
社会保険料:年収の15%=112.5万円 2026年に長期優良住宅を購入 
ローン借入額4,000万円 住宅ローン減税額:28万円 ※生命保険料控除等は考慮しない

住宅ローン減税1年目は「ワンストップ特例」に注意

ふるさと納税による寄付金控除を受けるには原則として確定申告が必要です。ただし、会社員の場合、寄付先を年間5自治体以内に収めるなどの要件を満たせば、確定申告が不要となる「ワンストップ特例制度」を利用できます。

ところが、住宅ローン減税を初めて受ける年は確定申告が必要です。この場合、すでに申請したワンストップ特例は無効になるため、寄付金控除についてもあわせて申告しなければなりません。「確定申告をするなら、寄付金控除も忘れずに申告する」ことが大切です。

「確定申告」と「ワンストップ特例」では控除のされ方が違う

確定申告では、寄付額のうち2,000円を超える部分が所得控除となって所得税を軽減し、残りが翌年の住民税から控除されます。一方、ワンストップ特例では、所得控除は行われず、全額が翌年の住民税から控除されます。

住宅ローン減税を住民税からも差し引く人は注意

住宅ローン減税を所得税だけでは引ききれない人が、ふるさと納税について確定申告をすると、ふるさと納税の所得控除によって所得税がさらに少なくなります。その結果、所得税から控除できる住宅ローン減税も少なくなり、住宅ローン減税を一部使い切れなくなる場合があります。

もう一つ確認しておきたいのが、ふるさと納税の「上限額」です。ふるさと納税の自己負担を2,000円に抑えられる寄付額には、その人の収入や家族構成、所得控除などに応じた上限があります。

上限額は、額面の収入から会社員の必要経費に相当する「給与所得控除」や社会保険料控除、基礎控除、配偶者控除などを差し引いた後の税額をもとに決まります。(下図参照)

  
Aさんの場合、ふるさと納税の上限額は概算で約11万円です。住宅ローン減税28万円は所得税だけでは引ききれないため、一部は翌年の住民税から差し引かれます。ただし、Aさんは住宅ローン減税とふるさと納税の両方の控除を受けても十分な税額があるため、ふるさと納税への影響はありません。

一方、住宅ローン減税を住民税の上限(課税総所得金額等の5%(上限97,500円))まで利用している人は注意が必要です。たとえばBさん(年収450万円、住宅ローン減税額106,500円)は、ふるさと納税をしなければ、所得税と住民税をあわせてちょうど住宅ローン減税を使いきれる状態だとします。

ここでふるさと納税4万円分を確定申告すると、寄付金控除によって所得税の課税所得が3.8万円下がり、所得税額も少なくなります。所得税が減った分、住宅ローン減税を所得税から使いきれる金額も減るうえ、住民税から控除できる上限額自体も同時に下がるため、二重に不利な方向へ働きます。結果として、ふるさと納税をしない場合に比べて約3,800円、住宅ローン減税の恩恵を取りこぼす計算になり、実質的な自己負担は2,000円を超えてしまいます。

なお、住宅ローン減税を年末調整で行える2年目以降は、ふるさと納税で「ワンストップ特例」を利用するのがおすすめです。ワンストップ特例を利用すれば全額が住民税から控除されるため、所得税側の住宅ローン減税枠を邪魔せず、取りこぼしのリスクを抑えることができます。ただし、医療費控除など他の理由で確定申告をする年は、ワンストップ特例の対象外となる点にご注意ください。

上限額は「今年」の収入や控除で決まる

ふるさと納税サイトなどのシミュレーション(住宅ローン減税を入力できるもの)や前年の源泉徴収票を目安にする方法もありますが、実際の上限額を決めるのは、ふるさと納税をする年の収入や所得控除です。

育児休業や転職などで収入が減ると、支払う税金も少なくなり、ふるさと納税の上限額が低くなるかもしれません。また、iDeCoの掛金や生命保険料控除、医療費控除などがあると上限額は変わるため、収入や控除に変化がある年は、今年の見込み額でシミュレーションしましょう。

ふるさと納税を上手に活用するには、自分が払っている税金を確認し、自分に合った上限額を把握することが大切です。特に住宅を購入した年は、住宅ローン減税も含めてシミュレーションし、無理のない寄付額を決めましょう。

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※掲載内容は2026年9月時点のものです。

執筆者
住まいのお金相談室代表 ファイナンシャル・プランナー
有田 美津子
(CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士)

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